離婚時の住宅ローン及び住宅ローン登記

離婚の際の住宅ローンはどうなるのか?

三井ビル家やマンションなどの不動産の財産分与では、家の所有権だけでなく、長期にわたる住宅ローンを誰が支払い、保証人をどうするか、といったことが最も問題となってきます。

家の名義は夫婦間だけで解決できても、銀行がからむ住宅ローンは、様々な面で制約が多いからです。

では具体的にどのような制約があるのでしょうか?


制約1. 離婚や名義変更についても銀行に伝える必要がある

住宅ローンの契約書の中には「契約者がその家に住むこと」、及び「もし家の名義を変更する場合は、事前に銀行の承諾を得ること」と記載されていることがほとんどです。ですが、住宅ローンの支払い遅滞さえ無ければ、これらに違反していたとしても実情としては問題がでないこともあります。

ただし、万が一支払いが遅延し、悪質だと判断されてしまった場合には、住宅ローンの一括返済要求や家の差し押さえ、強制競売手続きなどの強硬手段を短期間のうちにされてしまう可能性もあります。ですから、結論としては、銀行にも包み隠さず伝え、相談されることが最善ですし、どなたもそのようにされています。


制約2. 住宅ローンの債務者や保証人を変更するのは簡単ではない

住宅ローンは、銀行と借入人(申込人)との契約のため、銀行の承諾無しに主債務者を勝手に変えることはできません。これは連帯保証人についても同様で、保証人を変更したり外れたりする場合は、必ず銀行の承諾が必要です。

また、この変更により担保力が弱まり、銀行にとってのリスクが高まることが想定される場合、銀行側が承諾することは無いでしょう。


住宅ローンの5つの支払いパターン

例えば、家も住宅ローンも夫の単独名義となっているような場合、以下のような5つのパターンで支払うことが考えられます。

妻が家に住み、夫が住宅ローンを完済した後で、家の名義を妻に変更する

住宅ローンは完済までに何十年もかかるため、あまり現実的な方法とは言えません。また、完済前後に夫が心変わりすることも十分にあり得るため、「住宅ローンの完済後、すみやかに財産分与登記をする」旨を記した、「公正証書」による離婚協議書を作成することが大切です。

尚、不動産の将来の所有権を予約する意味合いを持つ、「仮登記」をしておく方法も一案です。

家を売却し、売却益で住宅ローンを全額返済する

もし「家の売却益>住宅ローンの残債」という関係が明確で、夫婦も売却に合意している場合はとてもシンプルな解決方法です。 ですが、「 家の売却益<住宅ローンの残債(オーバーローン)」が予想される場合は、銀行が売却を許可することはほとんどありませんし、売却をするにしても諸経費や手間がかかるため、すべての方に向いているとは言えません。

家も住宅ローンも夫の単独名義のままで、夫が住み続ける

この場合、銀行との間には何も問題はありません。焦点は、財産分与における価値の評価です。「不動産の時価(実勢価格)ー 住宅ローンの残債=財産分与の対象資産』という計算式になります。

例えば、時価2000万円のマンションで、住宅ローンが1500万円残っている場合、このマンションは+500万円相当の財産として、財産分与に組み込まれることになります。

尚、算定上マイナス(オーバーローン)になる場合でも、「マイナスの財産」として財産分与の対象となります。

妻が住み続けるために、住宅ローンを借り換え、家の名義も妻に変更する

妻が正社員として安定収入を得ており、住宅ローンの審査に通ることができる場合には、住宅ローンの借り換えを行うことで、解決する方法もあります。

妻名義で新たな住宅ローンに申し込み、その融資で得たお金により、現在の夫名義の住宅ローンを一括返済するのです。


妻の代わりとなる協力者を探し、妻が連帯保証人からはずれる

住宅ローンを借り入れる際に、夫が主債務者で、妻がその連帯保証人になることはよくあります。そして、連帯保証人は、離婚をしてもその責任が消えることはありません。

では、どうしても連帯保証人から抜けたい場合、打つ手は無いのでしょうか?

実はあります。妻の代わりとなり、一定の収入や資産を持つ協力者(夫の親族など)を一人用意することができれば、金融機関と相談した上で、連帯保証人から外れることができるのです。

そのため、夫が離婚を切望している場合、交渉カードの一つとして「自分に代わる連帯保証人を準備すること」を提示することも可能と言えます。

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